2025年6月、パチスロ市場に新たな規格が加わりました。その名も「BT(ボーナストリガー)機」。ATタイプとも従来のノーマル機とも異なる設計思想を持つこの機種が、2026年の今、ホール運営にどのような影響をもたらすのか。
本記事では、BT機の基本的な仕組みからスマスロとの違い、ホールとしての導入判断の考え方まで順を追って整理します。
BT機とは何か、規格の基本をおさえる
BT機とは「ボーナストリガー機」の略称です。2024年8月に日工組・日電協が発表した新たな遊技性で、ATタイプとノーマルタイプの二極化が進むパチスロ市場において、その中間地点を狙って設計されました。導入開始は2025年6月で、その後機種数を増やしながら市場に浸透しています。
BTの核となる仕組みは「規定数固定機能」です。ボーナス終了後に最大100ゲーム間、メダルの投入枚数を台側で固定することで、内部的にボーナス確率が大幅に上昇した状態(トリガー状態)を作り出します。これにより、従来のAタイプでは難しかった「ボーナスの自力連チャン」を、ノーマル機に近いシンプルな打感で実現しています。
注意しておきたいのは、BT機はあくまで「出玉設計の規格」であり、スマスロ・メダル機どちらの形態でも製造可能という点です。射幸心に頼らないシンプルで遊びやすいゲーム性を特徴とする一方で、設備面の要件はBT機であるかどうかとは切り離して考える必要があります。
3つのタイプで整理する、パチスロ市場の現在地
BT機が生まれた背景を理解するには、直近のパチスロ市場の構造を押さえておく必要があります。現在の市場はATタイプとノーマル機の二極化が進んでおり、BT機はその間を埋める存在として登場しました。
ATタイプとノーマル機の二極化
現在の市場は、多様で複雑な遊技性を持つATタイプと、極めてシンプルな遊技性ではあるものの出玉性能がATタイプと比較してかなり低いノーマルタイプに二極化した状態です。この状況は既存ユーザーの選択肢を狭めるだけでなく、ユーザーの離脱や新規ユーザー獲得の足かせになっているという課題が指摘されてきました。
スマスロの登場以降、ATタイプはさらに存在感を強めました。2025年4月にはスマスロの設置比率がメダル機を逆転し、過半数を占めるまでになっています。 一方でノーマル機は根強いファンに支えられているものの、新しい遊技体験を提供しにくい構造的な限界を抱えていました。
参照:【パチサミ公式コラム】多種多様なBT機の登場! スマスロ設置比率がついに50%超え、復調の兆しを見せる2025年パチスロシーンを振り返る。
BT機が目指す中間地点
こうした二極化の中間地点を目指して設計されたのがBT機です。射幸性に頼らないシンプルで遊びやすい遊技性を持ちながら、ノーマル機では実現が難しかった連チャン性を取り入れた新たなジャンルとして、日工組・日電協が「第三のパチスロ」というコンセプトを打ち出しました。
ATタイプの複雑な演出や高いコイン単価に疲れたユーザー、ノーマル機のシンプルさは好きだがもう少し出玉の山が欲しいユーザー——BT機はその双方に訴求できる設計を狙っています。ホールにとっては、これまで二択だったスロットコーナーの構成に、新たな選択肢が加わったと捉えることができます。
2026年現在、BT機はどこまで浸透しているか
2025年6月の第1弾導入から約1年が経過した今、BT機の市場浸透はどこまで進んでいるのでしょうか。機種数の推移と稼働の実態を冷静に見ておきます。
2025年3月に日工組・日電協が第1弾となる4機種のタイトルと導入時期を発表し、同年6月から本格導入がスタートしました。その後、各メーカーからBT機の新作が続々と登場し、機種数は着実に増加しています。
参照:ボーナストリガー(BT)第1弾の4機種を公表、導入開始日は6月2日|DMMぱちタウン
注意しておきたいのは、BT機はメダル機・スマスロどちらの形態でも製造可能な規格だという点です。2025年に登場したBT機の中にはスマスロ形態のものも含まれており、BT機だからといって必ずしもメダル機用の既存設備がそのまま使えるわけではありません。 導入を検討する際は、対象機種がメダル機かスマスロかを個別に確認する必要があります。
一方で稼働面では、まだ課題が残ります。2025年の導入台数トップはノーマル機のネオアイムジャグラーEXで、トップ10のうちBT機以外はすべてスマスロという結果でした。 BT機はジャグラーをはじめとする既存ノーマル機の牙城を崩すには至っておらず、ホール経営者としては「期待の新規格」と「まだ様子見」の間で判断が分かれている段階といえます。
ホールとして、BT機にどう向き合うか
BT機の導入判断は「とりあえず入れてみる」ではなく、自店のコーナー構成と客層を踏まえた上で考えたいところです。
まず自店のスロットコーナーの構成を確認する
ATタイプの荒波に疲れたユーザーの受け皿として、BT機には一定の需要があります。シンプルな打感でありながらボーナス連チャンの山を作れる設計は、ノーマル機とATタイプの間で居場所を探していた客層に刺さる可能性があります。自店のスロットコーナーがATタイプ一辺倒になっているなら、BT機を1〜2台置くだけでコーナーの幅が変わるかもしれません。
導入判断で見るべき3つのポイント
まず設備面の確認を先に行ってください。BT機はメダル機・スマスロどちらの形態でも製造されているため、対象機種によって必要な設備対応が変わります。次に稼働実績を見てから追加導入を判断することです。現状の設置シェアは3%台にとどまっており、日電協理事長も「浸透には時間がかかる」という認識を示しています。 今は焦らず様子を見る段階です。
業界の動きも押さえておきましょう。日電協は市場シェア10%を目標とする「BT10」を掲げており、2026年4月からは毎月13日を「BTの日」とするプロモーションも始まっています。 ユーザーへの認知が広がることで稼働が底上げされる可能性があります。
参照:日電協「毎月13日はBTの日」プレス発表会開催 娯楽産業
まとめ
BT機は市場を塗り替える規格ではなく、パチスロの選択肢を広げる存在として捉えるのが現実的です。ATタイプ一辺倒のコーナー構成に一石を投じる可能性を持ちつつ、まだ発展途上の規格であることも踏まえた上で、自店に合った向き合い方を探っていきましょう。


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