遊技業界における半導体不足の影響

統計・コラム

どうも「BOSS」です。

世界的な半導体不足は、ほぼ全産業から全世帯までに影響を及ぼしており自動車、家電製品、スマートフォン、パソコンの生産計画や納期、価格にまで波及しているのは周知の事実かと思います。

遊技業界においても半導体不足による影響は大きく、この分野の知識が豊富と言う訳ではありませんが自分なりに全般的な状況を調べてまとめてみました。また実際に身近にあった状況も報告させていただきます。

半導体不足の原因

【半導体メーカー】
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、半導体メーカーは需要の減速を想定して製造の抑制を行いました。
しかし、この半導体メーカーの予想に反して自動車販売が急速に回復しコロナ禍によるテレワークの促進でノートパソコンやデータセンターの需要が増加、巣ごもり需要でゲーム機や5Gスマートフォンの販売が好調となったことなどに加えて半導体工場火災での稼働停止により半導体不足となりました。
また、アメリカによる中国への制裁措置で欧米の半導体メーカーが製造委託先を台湾のメーカーに変更したことで実質的に増産体制が不可能となったことや半導体工場での増産投資がなされていなかったことも原因と言われています。

【サプライチェーン】
※サプライチェーンとは商品や製品がエンドユーザーに届くまでの一連の生産・流通プロセス  
 (原材料・部品「調達」→製品「製造」→「在庫管理」→「物流・流通」→「販売」)

サプライチェーンにおいては半導体だけでなく様々な商品・製品がコロナ禍の影響を受けています。全工程で現場の働き手を失っているところも多く、ベトナムやタイのロックダウンの影響では電化製品や冷凍食品、衣料品などが品薄や納期遅れを生じさせています。
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半導体不足はこのような製造の後工程の組立工程を担っている国々で目詰まりを起こしていることが強く作用していると言われています。

また、2020年後半から「メタルショック」と言われる「銅、アルミ、鉄」の素材・原料の高騰化が起きています。特にアルミは中国での電力制限や原料産国のギニアのクーデターが原因なっており半導体製造装置やリチウムイオンバッテリーへの影響が危惧されています。

このようにグローバルなサプライチェーンでは各拠点の国や地域の情勢が影響し需給のバランスが崩れた状況となってしまう脆弱な面が露呈しました。

半導体不足はいつまで続く?

半導体メーカーでは最先端の製造技術を駆使したiPhone13やノートパソコン、ゲーム機のコア部品である半導体に莫大な投資を行い、大半の収益源となっています。
自動車や5G・IoTで使用する半導体の大半は旧世代のもので既存の設備で安価に製造ができ、最新鋭の製造設備は不要です。よって、新規の設備投資をすることは割に合わず、この旧世代の半導体が不足する一因ともなってきました。

今後、温暖化気候対策である「脱炭素化」による半導体需要がさらに高まると予測されています。
アメリカ、中国、欧州では「脱炭素化」に環境・インフラ投資の大型政策を打ち出しています。
これにけん引される新規成長分野の主要半導体は、先端デジタル半導体ではなく、旧世代の半導体となるようです。

自動車は電気自動車(EV)になると、半導体需要が大きく増えます。今後「カーボンニュートラル」が加速していけば、より需要が増すことになりそうです。
※ハイブリット(HV)はガソリン車の約2.3倍、電気自動車(EV)は約2倍、レベル3(条件付き自動運転)は約4倍と推計されています。

日本においても台湾の半導体製造大手TSMCの半導体工場が2024年の操業開始の予定で建設が開始されますが、新型コロナウイルスの感染が再拡大している地域も出てきている状況もあり、この半導体不足がいつ解消されるかは見解が分かれており2022年度中とも2023年度中とも言われています。

遊技業界への影響

遊技業界では遊技台や周辺設備において納期遅れや延期、販売中止などの影響が出ています。半導体だけでなくコネクタなどの部品供給も不足しているところもあります。
2021年から22年1月での遊技台販売での延期や中止は、表面化している機種だけでもパチンコで9機種、パチスロで4機種あります。すべてが半導体不足と部品不足が原因ではないかもしれませんが、販売を公表してからの延期・中止は例年になく異常な多さです。
国内調達できているメーカー以外では今後の販売計画にも懸念されるところがあり、旧規則機の撤去や「スマートパチンコ・スマートパチスロ」のリリースにも少なからず影響があると思われます。

周辺設備に関しては塗料や樹脂(ポリカーボネート)の値上がりが顕著で、昨年同月比で3倍まで高騰しています。先の「ウッドショック」による木材不足もあり島など設備面にも影響が出始めるかもしれません。
実際に年末年始の旧規則機撤去時期に合わせてのパチスロからパチンコへの変更工事やパチスロの30φ導入、増設工事で影響が出てきています。

弊社での案件状況でも…

弊社では1月での依頼案件が急激に増え多忙を極める事態となっていますが、ある案件ではメダルユニットの30Φホッパーが新品、中古を含めて不足して困った状況となりました。
なんとか弊社の強みでもあるフットワークとネットワークでかき集めることができましたが、価格も高騰してきており状態を確認して修理を要するものもあります。他の中古製品での問い合わせも急激に増えており、長らく在庫として眠っていた製品も売れてしまうという想定外の状況となっています。

最近の傾向でもありますが、大手系列には事前に設備メーカーなどからの情報を携えてのアプローチもあり比較的早期に年末年始の工事計画がなされていますが、中小の系列店や単独店舗ではどうしても後追いの状況となってしまっているようです。その上コロナ禍による資材、製品(新品・中古)の不足に加えて工事業者での人工不足という深刻な事態が起こっています。

また中古製品があったとしても取扱業者によっては仲介して転売するだけのところもあり、中にはメンテナンスが手に負えずに弊社に修理依頼があるケースもこの状況下で実際にありました。
(日常的にもあることですが…😓)

もし中古製品のサイトで「希望する製品が無い」場合や「以前使用していた在庫製品が故障している」などでお困りの場合は弊社までお問い合わせください。
弊社ではご希望の製品が無い場合でも代替の製品や部品で修理するなどの柔軟な対応も可能です。
手前味噌ではありますが、そのメンテナンス技術と信頼を積み重ねてきた実績は自負しておりますので、納品設置後のアフターフォローも含めて安心してお任せいただけます。

    コメント

    1. […] 単純計算では来年1月までの3カ月で完全に旧規則機を新規則機に入れ替えるには、パチンコは毎月14万台、パチスロは19万台の入替が必要となり入替費用も毎月大きな負担となります。パチンコは「P大工の源さん超韋駄天」スペックが主流となり稼働、収益状況ともに安定傾向にあり、12月には「P北斗の拳9」、「Pエヴァンゲリオン15」など12機種、1月は「P牙狼」、「P真・花の慶次3」、「P真・北斗無双」など10機種が販売される予定です。パチスロは6号機の保通協の適合率が低く、販売される機種数が少ない上に、ようやく検定を通過して販売された機種の稼働、収益状況も芳しくない状況が続きましたが、ようやく6.2号機が導入され始め、12月には「SマイジャグラーⅤ」、「S 沖ドキDUO」など」12機種、1月には「Sディスクアップ2」、「Sハナハナホウオウ」、「S押忍!番長ZERO]など15機種の販売が予定されています。12月と1月の2か月間でパチンコ、パチスロともに約20万台、合計40万台の販売予定台数となっています。12月、1月のパチスロ販売機種では30Φが5機種あります。しかし「Sチバリヨ-30」などの30Φ人気機種は客層、地域によっても偏りが大きく、25φしか設置していないホールでは設備の変更が必要となり、より費用負担が大きくなってしまいます。すでに設置され始めている有利区間の自主規制が緩和された6.2号機の期待値も低く、全台の入替は厳しいとの見方が強くなっています。さらに世界的な半導体不足や部品不足による遊技機の販売延期や中止もあり、今後の販売計画にも不安があります。 […]

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