パチンコ関連企業4社が「MSワラント」発行で増資したワケ

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どうも「BOSS」です。

2023年にパチンコ関連企業4社が「MSワラント」発行という手法で増資をしたという記事を目にしました。東証の上場維持基準が要因となっているところもあるようです。記事の内容を以下に要約して記載します。詳細は下のリンク記事を参照してください。

パチンコ業界に異色の「増資ラッシュ」到来の深層 株価は大幅下落、業績絶好調のさなかになぜ? | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

「MSワラント」の発行とは

MSワラントとは「行使価額修正条項付き新株予約権」のことで、株価の変動に伴い、行使価額が調整される新株予約権のこと。権利行使の際に時価よりも安い価格で新株を取得できるため、引受先がほぼ確実に儲かる仕組みだ。

引受先はたいていの場合、権利行使の際にカラ売りを仕掛けるため、株価に下落圧力が働く。また、行使が進めば株数が増えることから、1株当たりの価値は希薄化する。ゆえに投資家からは「悪魔の増資」と嫌われる。

東証の上場基準と暫定組の猶予期間


東証は上場維持基準として、プライム市場で流通株式比率35%以上、スタンダード市場で同25%以上を求めている。

2023年には、複数のパチンコ関連メーカーが矢継ぎ早にMSワラントの発行に動いた。2月に遊技機メーカーの藤商事が23億円、6月に大手ユニットメーカーのマースグループHDが72億円、12月にはユニットのOEMなどを手がけるマミヤ・オーピーが23億円の調達を想定し、それぞれMSワラントの発行を決めた。

Case.1-藤商事

藤商事はスマートパチンコなど新型遊技機の開発強化を目的に挙げている。それに向けて、約200億円の現預金では手元資金が十分でなかった、というのが表面上の説明だ。

先陣を切った藤商事は東証スタンダード上場で、「リング」や「地獄少女」などホラー・美少女系のタイトルに強い遊技機の中堅メーカーだ。近年は遊技機に対する規制強化を受け、赤字に転落する年も珍しくなく、新規事業のスマホゲーム開発から撤退を強いられるほど苦戦していた。
しかし、ライトノベル発の大ヒット作である「とある魔術の禁書目録」シリーズの版権を獲得し、規制緩和やスマスロの登場といった追い風が吹いた結果、足元で業績はV字回復している。2024年3月期の業績は、売上高420億円(前期比20%増)、営業利益50億円(同29%増)を見込む。

藤商事は松元邦夫会長を筆頭に、創業家が議決権ベースで60%超の株式を握っていたオーナー企業だ。しかし一連の東証改革により、流通株式比率の引き上げが喫緊の課題となっていた。
上場維持を確実なものとしつつ、機関投資家などの関心を引きたい非創業家の幹部と、中長期的に持ち株の価値を保ちたい創業家の利害が一致し、「オーナーの協力をもらって(保有株式を)出させる」(藤商事のIR担当者)今回のスキームが実現した。

Case.2-マースグループHD

マースグループHDは、製造拠点の再編などに向けた不動産取得やシナジーを見込める企業のM&Aのために、資金調達が必要だったとする。しかし、やはりこちらも「メインの狙いは、プライム上場企業として流通株式比率を上昇させること」(同社IR担当者)だったという。

MSワラントの発行を発表した翌営業日、マースグループHDの株価は16%下落。希薄化率が最大6%と見込む藤商事でも、同14%の株価下落を招き、こちらは2023年11月末時点でMSワラントの行使もゼロと成果がない状況だ。

Case.3-ゲームカード・ジョイコHD

2023年11月、東証スタンダード上場のゲームカード・ジョイコホールディングス(HD)が、行使価額修正条項付き新株予約権(通称「MSワラント」)の発行を決めた。同社は、遊技機の台と台の間に設置されている機器「ユニット」の大手メーカー。想定する調達金額は54億円で、新製品の開発やM&A(合併・買収)などに充当するという。

ホールは従来機からの仕様変更に伴い、電子データでの玉貸しに対応した専用ユニットが欠かせないため、ユニットメーカーに特需が到来。ゲームカード・ジョイコHDは今期、12期ぶりの最高益更新を見込んでいる。
ゲームカード・ジョイコHDは流動比率600%、有利子負債ゼロと盤石の財務を誇るが、生体認証やスマホ連携といったパチンコホールの次世代決済システム開発などを使途に掲げた。希薄化率は最大17%となる。

発表の翌営業日、ゲームカード・ジョイコHDの株価は22%下落と、各社で最大の落ち幅となった。その後も株価は低迷し、同社は急きょ11月に機関投資家、12月に個人投資家に向けて説明会を実施するなど、火消しに追われる格好となった。
株価の大幅な下落は、業界2社の前例を踏まえれば想定の範囲に思える。ただ、個人投資家向け説明会で、ゲームカード・ジョイコHDの鈴木聡社長は「(株価が)短期的に下がった点は私の本意と少し異なる」と、足元の株価推移が想定外であるとの認識を示した。

同社の関係者によれば、社内の反対意見を鈴木社長が押し切り、今回の調達に至ったという。「これくらいの資金調達は、銀行などからの借り入れで難なくできたはず。認識の浅い鈴木社長に対し、証券会社側が自分たちの儲かるMSワラントをうまくやらせた、ということだろう」。

Case.4-マミヤ・オーピー

ゲームカード・ジョイコHDに続いたマミヤ・オーピーも、MSワラント発行を発表した翌営業日に株価が17%下落している。

足元は特需に沸くパチンコ業界だが、中長期的に見れば斜陽産業であることは間違いない。増資発表前を超える水準に株価を戻す道のりは、そう簡単ではなさそうだ。

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